出発 清野雅巳 ソファの上で目が覚めた 誰もいない部屋 テーブルには空き缶 スナック菓子 ピザの空き箱 床のビニール袋を拾い へこませた缶を放り込む 箱は二つ折りにしてごみ箱へ 誰かが あーあ ベッドで食いちらかした ポップコーンも一粒ずつ拾って 窓からさす日がまぶしい 時計を見る どうりで皆 出かけたはず 雀も鳴かない キッチンで顔を洗うと 首をぐるぐるさせながら ドアを開いた かかとを踏んづけ よろめいて二歩 三歩 いつまでもぐずぐず しているわけにはいかない