言葉の街へ 清野雅巳 駅前には焼肉屋しかない 一人では入りづらいので コンビニでカップ酒と 弁当を買って ビジネスホテルへと向かう 昼間 このあたりは さんざん歩いた だから 近道を覚えた がれきの散らばる空き地を 横切る時 ぼくは 沈黙のなかを歩いている 言葉で骨が組まれ コンクリが流し込まれる ひとつの建物ができ 肩をよせあい街になる 部屋の明かりを消して ベッドにもぐり込む でも眠れない 表の光で 起きて窓から眺めると 駅舎がほのかに浮かんでいる