(詩句の終わりにようやく) 原口昇平 詩句の終わりにようやく ずっとそばにいたことに気づいた きみは沈黙 口いっぱいに頬張った子どもたちの なぜ復員しないのか父は という問いからはるかに遠く 夏が来た 今かたわらを駆け去るおはやしの 声もなく ただ昼過ぎの 短針の角度でふたたび倒れていく 隠された悪を注意深く 拒むことが生ならば すでに現し世に絶えてひさしく ただ 夕闇には転がるだろう空蝉ばかり聞く