ハウス  清野雅巳



教会のような建物がある
(あれで市役所ですって)
こんなに高い所から
駅の反対側まで
芽がひかれないか心配だ
紐を引っぱるたびに
かたかたと音が
追いかけてくる
そして肩越しに指さしてみせる
あれが鎮守の森
そのうしろが近鉄ホテル
(四年前までは予備校)
私たちの生みの親です
夜になると八度九分の
熱を出して泣きました
山向こうの事を知りたいそうだが
今では雪のせいで
あんまり覚えていないのです
(そのときには除夜の鐘)
試しに尾根を見てみなさい
どちらも蜥蜴の尻尾のようだが
仲違いして一方は
西へ去りました
吊り橋はそこを渡るため
架けたものです
今でもそこにあって
こちらを見ています
もうすぐ花が咲きます
真っ赤な梅の花です
 

 






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