パノラマ 細川航
もしぼくがパイロットなら
脱走中なので、稜線をいく
ふうわりといって、キャノピィの
小窓からはいる、ベリー畑のにおい
どすんとある風車
もしぼくがパイロットなら
気が狂っているので
それとはべつに飛行機は落ちてしまうのだけど
もしぼくの気が狂たら
新世界で串かつを食べよか
Ⅱ
関係者入り口から入ったからには
関係者出口から出たいものやな
と先生はいう
そういえば、東京ではへんなひとが多かったけど
大阪では、おもしろいひと
冬ならばもっと冷え込んでほしい
雪が吹きすさんで、くるまが埋まって欲しい
そうでないと、はるの匂いも
その次の、夏のしめった匂いも、
砂浜が冷える、くがつの匂いも、
僕は嗅いでしまう
僕には漂ってきているのです、というと
先生は、もうちょっとここへいなはれ、という
駅舎には石油ストーブ