サステイン  細川航



相変わらず夢見がわるいことで、いつもあたらしく夢見がわるい
のですが、それはふるくなっていくからであって、しかしこれ以
上は語り手がいない
ピアノの鍵盤をそっと押すわけです、音の鳴らないように、そう
したことをアリバイにして虚空を受け入れては突き放すだけの作
業に専念できる、読みかけの本には申しわけのないことだが
風が吹いている草の生えているような場所であるなら風が弦を擦
りあるいは音が鳴っているのかもしれない、そのようなことをア
リバイにして虚空を打ち、腕をねじあげてもみたり、窓を、みる
と、窓のそとをみていて、くうきが続いていっていて、だいがく
せいが、へやさがし

 






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