Lucid Dream  早坂恒

 

網 net を仕掛けるもの @くるくるとまわる記号、数字、マーク 
i/magi/ne、クラフトについて、アサミイについて、年の車輪について 
私と僕が安心であること 
「私は強い、僕は安心」 

さようなら僕らの王よ さようなら僕らの健脚な大人の神よ 

君は紙粘土で僕らを作り 
大きな井戸にそれらを投げ棄てた 
馬のようなちんちんを持ち 
水のみ場から川も海もつながるような水を飲み込んだ 

網 net を仕掛けるもの 
じゅうぶん研究が進んでいるとはとてもいえないこと 
知覚の拘束と蛇についてのこと 
二、三種類の音程で繰り返し口ずさむこと 
「私は強い、僕は安心」 

「上海に咲くひまわりよ 
種から育ち、太陽を糧とするひまわりと人形よ」 
黒い夜はほんとうは透明で 
ランプの光で色がつき、肌色の肌と金色の髪と髪と花を分け隔てると 
心臓がどきどきするって、みんな知ってた、君も僕も 

空を飛ぶ、土の上を歩く 
先々で歴史や妹や騒々しい音に出会う 
言葉を聞くたびに君はそれを嫌いになる それをつくったものを含めて 
けれど言葉は、君の耳に忍び込み 君の髪に色をつけ、君の服を作り 
そして君は人形を作るのだ 

「この影は面 
 この影は幅広い形状で品物をあらわす面」 
君は誰も探し出すことが出来ない 
君は飛べるがそれは少しのことで 
どこまでも歩いてゆく 
ニュー・ジェネレーションは知らないことだが 
君は恍惚的な香気 
君のまじないは具象詩 
だから僕らは安心して君を見ていた 
Witchcraftの書かれた本を君はひとつの人形にわたした 
人形は人形をつくり、友達をつくるのだ 

「その問題集に書かれていることは」 
「ひゃくども繰り返して覚えてしまった」 
けれど 
「君はそれを使えない」 
「自分の手でつくりだした呼吸を 
ComandLineで入力したわざをたよりにするだけだ」 
「蝶を出す、扇子開く、(ひまわりは傘を持って見に行く 
 「それは亡霊 
 君とはまた別のもの 
オネ、トエ、テェレエ 
オネ、トエ、テェレエ 
と祈祷文を読み上げる 
聞け、空気の力よ! 
苦闘中の氷と炎の守護者よ! 

Aurelie(onmyoudama 
テェレエ、(Aurelie 
Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation 
(acronym system 
……SOLAR 
……thia or tyen 

……Boundary of 
wave and grain 

……眠らない夜に 
歩いてやってくる僕らの神 
人形とひまわりを統べる僕らの王 
七曜の本と 
ピカリ目が光る吸血の月と太陽 
それらはすべて君の童話集なのだ 
僕らは病院で、道端で、神社で、森で 
雑貨屋で、自動販売機の横で 

網 net を仕掛けるもの 
さながら詩のようで、けれど現実に機能するもの 
なんとなく胸が熱くなること 私と僕でできた網 

(網 net を仕掛けるもの 
 ……昔の言葉を知っているか? 
 それは知らない。 

昔の信仰の言葉を知っているか? 
網 net を仕掛けるもの 

さようなら僕らの王よ 
さようなら僕らの神をくくった一夜 
君は水を飲み干す草 
僕らは君の胎児 
君はmagnetを読む 
「私は強い、僕は安心」 


inserted by FC2 system