今日も 清野雅巳 ひと晩じゅう悩んだあげく 戸棚の上から世のなかだと 信じていたものをおろして ぬれた両手を見つめている 正体を見きわめる間もなく 溶けきった朝の光のなか 一階から野菜を切る音が 聞こえてきた