プス湖の話　　市村マサミ

　

常春の、パレマゴズ王国のプス湖というみずうみに、
恐ろしく巨大な貝のような生き物を見た、
という農民からの通報があった。

地元新聞紙や週刊誌は我先にとプス湖へと向かい、
目撃者が撮影したという写真も多数公開された。
多くの人々が、プッシープッシーと騒ぎ立てた。

あるとき、プッシーの子供のものと思しき貝殻が発見された。

地元マスコミは
「発見！子供のプッシー！！」
「プッシー、実はアワビだった！」
「プッシーの子供、アンダーグラウンドで取引されている！」
「パルマゴズ国王、プッシーを語る。」
各々、好き勝手な報道をした。

プッシー騒ぎもいよいよ沸点に達し、
「プッシーを捕らえた者には賞金1000万パレム！！」
というＴＶ番組まで現れた。
猫も杓子もプス湖へと向かった。

早くツラを見せろ！と怒鳴る者もいた。
銛を使う者もいた。
静かに語りかける者もいた。
ただ湖畔で見ているだけの者が一番多かった。

そこへ一人の白痴の貧乏人がやってきて
あうあう言いながら湖で、ちゃぽちゃぽと陰茎を洗い始めた。

ほの暖かい湖の水に撫でられた男の陰茎は次第に勃起し始め、
ちゃぽちゃぽとは洗っていられなくなった。
男は体を俯せにしてジュボジュボと湖に陰茎を突き入れ始めた

賞金に目がくらんだ連中は、そんなことにも気付かず、
早くツラを見せろ！と怒鳴ったり、
銛を突き入れたり、
静かに語りかけたり、
ただ湖畔で見ているだけだったりした。

と、突然プス湖から水柱が立った。
伝説の巨大貝、プッシーがその顔を一瞬覗かせた。

水柱に飲まれて溺れ死ぬ者が沢山いた。
その隙を見て、湖畔から銛を突き入れた青年がいた。


米国の青年であった。


日本の人々は、この件に関して知る人が少ないだろうから、
ここに、こうして記録しておく。