スペインとピアノ  早坂恒

 

そうですね、 
そうですね、 
闘牛をしましょうか。 
闘牛の話ですよ。 
ほらね。 
うそのように怒っているでしょう。 
窓の外ですよ。 
窓の外に、天気がいいのがみえるでしょう。 
日の光ですよ。 
たまりません、っていっていたでしょう。 
こないだ 
こないだですよ。 

なんかさ、 
スペインのようでしょう。 
真っ赤にひらひらして、帽子をかぶっているのがみえるでしょう。 
みえるようでしょう。 
宇宙はスペースですよ。ユニバースでしたっけ? 
なんかさ、 
英語ですよ。 
手のひらサイズの太陽とか、それ、カスタネットでしょう。 
フラメンコします? 
わたし、あなたのことが好きです。 
スペインみたいに。 
ピアノを弾くとき、ちょっと怒ったとき、それって、ちょっとセクシャ
 ルハラスメントみたいな 
発言をしたとき。 
ごめんなさい。 
わたし、あなたのこと好きです。 
少し前から、少し前からです。 
あなたが……の話をしたときからです。 

日の光ですよ。 
陽光だもん。 
すごい照りつけているのが、スペインぽいじゃない。 
なんか、 
なんかさ、鮮やかです。 
アザーヤカです。 
カラフルというより、アザーヤカで、 
ドギツイかんじじゃないですか。にゃいですか? 
デスは英語の死。メタルは金属。 
ドリームは夢で、ねむりですよ。 
わたし、練習しますから。一日に何時間だって、やる、 
とは言えないけど。 
驚くようなことがしたいです。サプライズです。 
そう思うと、想像すると、力がわいてきます。 
イマジンです。 
すごい目が悪いですよね。 
勉強好きな人、好きなんです。 

鮮やかで、熱がある。 
それってスペインじゃないですか? 
スペインだけどピアノなんですよ。ギターではないんですよ。 
カチカチやって、教えてください。それってカスタネットです。 
楽しいことしたいです。 
エターナルなかんじに。 
目をつむってください。 
ちょっと顔が赤いですね。 
歌をうたってください。 
ちょっと顔が赤いですね。 
ほらね、昔のこと思い出したでしょう。 
昔のこと話すでしょう? 
高校生の頃のこと、大学生の頃のこと 
大学卒業したあとのこと。 
ほらね、鼻むずむずしません? 
煙草やめましたよ。 
だから、付き合ってください。 
デートしたいです。 

窓の外みてください。 
朝はバッチリ目が覚めたし、 
昼はドキドキして、元気いっぱいだったんですよ。 
歩くときも音楽聴きます。 
嫌いかもしれないし、好きかもしれない音楽だけど、 
あなたに話すのに不自由しないようにです。 
足全体で、リズムをとる、 
ようになればいいですね。 
ようになればかっこいいですよね? 
あなたはそれは違うといいます。でも、違わない。 
わたしがそれを好きで、好きかもしれないし、嫌いかもしれないと思っ
 ていて、 
それでそういうものが、あるって知っているから。 
歌うたいましょう。 
歌うたうことに、チャレンジするんです。 
ほらね、
声が震えて、ヨレヨレになって、それでそんな声が出ていることがあっ
 て
わたしはそれを知っているから 
あなたにそれを知ってほしいんです。 
わたしは それを 知っているから。

ほらね、 
スペインのようでしょう。 
鮮やかで現世的で。 
いっしょに……を見に行きましょう。 
またへまをするかもしれないけど、それよりずっと。 
多くのことを。 
鼻むずむずしませんか? 
驚いた顔でこちらをみるね。 
ごめんなさい。 
なんかさ、 
女の子の声の歌も好きですよ。 
とりわけ昔に聴いてたようなやつが。 
わたし、調べます。 
いまはインターネットもあるし。 
足がなまってしまいそうです。 
手のほうはきちんとしてますよ。 
キチーンですよ。 
今度のとき、よく見てもらうようにです。 
あなたが教えるから、わたしの手には、 
硬い感じ、強くて鮮やかな感じが 
夜になっても残っているのです。
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