実家 清野雅巳 正月 実家でテレビを見ていると 討論番組に イラク人質事件の帰還者が あれから四年 いや五年か ぼくとそんなに違わない年に見える これからの国際交流のありかたについて 語るという そこへ母が来て 風呂がわいたと告げた ぼくはテレビを消して立ち上がった 湯船で足を伸ばしながら くもりガラスを見た 窓の外は暗く 耳をすますと 遠くで車が 砂利を踏みしだいている