逆上がり 清野雅巳 きみが土に愛想をつかしたのか 土のほうでなのか 靴下はその日 高だかと上がった 軽さそのままに ぼくたちを置きざりにした するときみのいない今に 愛着がわいてきて 気まずくなって だんだんきみの靴に 手を触れなくなった 電話の繋がるもの同士で くっついたり 離れたあとは一人で 海までいってみた 波に裸足をひたしている間にも おしっこのように きみは空に弧をえがいて 溶けてなくなっていくのだった