ムクドリ 落合白文 夕方、私達を驚かせたのは黒雲のような 椋鳥の群れだった。電線の下を歩く際には 落ちてくる雷に気をつけなくちゃならない。 鳥達を驚かせたのは、誰かが投げつけた (おそらく石か何か)ぶつかる音がある。 鳥達は飛び立つと同時に、連れ去っていく 宝石やそれと同等の約束を。 つまり、私達はいつだって約束を忘れやすくて 運命の神様は首を吊った格好で、電線のなかを ひそかにとおる 五千二億ターブの 私達の声に耳を澄ましている。