歌 原口昇平 路線図から ひとつひとつ果ての街を組み立てた どこにも訪れたことはなかった (どこでも見たことはあった) 解剖図から ひとりひとり果てのひとを組みたてた 誰とも会ったことはなかった (どこかで見たことはあった) 何度でも咲き直していく花々と 一度だけしか渡せない花束と 枯れた比喩が腐っていくだけの季節と 背く影から 目を背けるために振りかえれば エコー (まだ両手をひろげている)