傘 落合白文 夏の、朝靄のなかの 街灯の鳥を見よ 広げた翼にはびっしりと、 地図が描かれている。 彼方、此方の越境者が建てた ジオラマのように面影を遺す一つの様式が 隔絶だと学ぶにせよ、或いは、 子供らが地面に描いたチョークの落書きのように 雨粒によって洗い流されるのかもしれない。 いや、そもそも、 魂やハートに落書きなんて できるのだろうか?